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心で見なくちゃ,ものごとはよく見えない。肝心なことは,目に見えないんだ。
[星の王子様(サン・テグジュペリ著)]

見えないフロンティアへようこそ!

写真 地球から遠く離れた恒星を見ることが可能になった現代でも,わずか数cm下の地下を直接見ることはできません。なぜでしょうか。人間の目が感じる電磁波(可視光)は,狭い波長域に限られているので,その他の波長域の電磁波を感じることができないからです。有名なサンテグジュペリの星の王子様の一節に,「肝心なことは,目に見えないんだ」という台詞があります。この台詞のように,世界は見えるものばかりで成り立っているわけではありません。見えないものの方が圧倒的に多いということを認識する必要があります。


見えないものを見るためには?

写真 それでは、どうすれば見えないものを見ることができるでしょうか。医療の分野ではレントゲン写真のように体の内部を見ることができますし、最近では超音波エコーのようにお母さんのお腹の中の胎児の様子まで見ることができます。これは可視光以外の、X線超音波を使っているからです。このように人間の目に替わるセンサーを使うことで、目に見えないものを間接的ではありますが見えるように(可視化)することができます。このWebサイトは、このような目に見えないものを可視化する技術"物理探査"を広く知ってもらう目的で作りました。このサイトを通じて物理探査の一端でも理解して頂ければ幸いです。


物理探査って何?

写真 物理探査は人間の目では直接見ることのできない地面の下を様々なセンサーを利用して可視化するための科学技術であり,エネルギー資源や鉱物資源を発見するために利用されています。 地下資源を安全かつ効率的に発掘するためには,まず地下資源がどこに存在しているかを事前に詳しく調べる必要があります。病気の場合に医師が必要なように,資源調査の場合には地下のことが良くわかるジオドクター(地球のお医者さん)が必要なのです。エネルギー資源(石油,石炭,地熱)や金属鉱物資源(金,銀,銅)の探査のために発達した物理探査ですが,最近では遺跡や環境分野など多くの分野で使われています。左の写真は,電磁探査による福岡市・今宿大塚古墳の探査風景です。なお,ジオドクターの概念は牛島名誉教授が発案したものですが,物理探査関係者の間ではかなり普及しているようで,専門外の人に物理探査を説明するときによく使われています。


物理探査の概要

写真 物理探査は,その測定原理により分類することができます。 例えば,人工の地震波(弾性波)を利用する弾性波探査,自然または人工の電気現象を利用する電気探査,電磁場の変動を利用する電磁探査,地磁気によって誘導された磁気異常を利用する磁気探査,地下の密度の違いによって生じた重力異常を利用する重力探査,電磁波の反射応答を利用する地中レーダ探査などがあります。その他にもガンマ線を測定する放射能探査や地下の温度を測定する地温探査なども物理探査に含まれます。また応用分野としては,石油・天然ガス探査,温泉・地熱資源探査,遺跡探査,地下水探査,地雷探査,金属資源探査などに広く利用されています。物理探査に関連するその他の地球物理学的手法には,人工衛星を利用するリモートセンシング,坑井(井戸)を利用するジオトモグラフィ,孔井内を直接計測する物理検層などがあります。左の写真は,九州大学の伊都キャンパスがある西区元岡地区での地下水探査の風景です。因みにこの写真は,九州大学の基幹教育の教科書である「基幹物理学」にも掲載されています。