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No.002 人を育てること

写真  いつの頃からでしょうか,人材育成に熱心な企業や研究所が少なくなった気がします。もちろん,全ての企業や研究所がそうだと言っているわけではありません。当研究室にも,就活絡みで企業や研究所の人事担当者が訪れることがありますが,決まって「良い人がいたら取りますので,是非紹介して下さい」と言います。私は元来へそ曲がりですので,そのようなところには学生を紹介したくないと思ってしまいます。学部4年や修士2年の段階では経験が浅いので,英語がしゃべれて仕事もテキパキこなせるスーパーマンみたいな学生はいないのです。例えそのような人がいたとしても,とても優秀ですので前述のような会社は希望しないのです。
 最近の企業は余裕が無いせいでしょうか,企業内での人材育成を軽んじて,即戦力を求める傾向が強いように思います。また,就職に直結する技術を大学で学ばせようとする傾向も強くなっています。将来役立つ技術を身に付けること自体は良いことですが,就職に重心を置きすぎている気がします。大学は様々なことを学ぶ場所であり,就職のための専門学校ではないのです。ある先生の名言に「すぐに役に立つことは,すぐに役に立たなくなるのです」というのがあります。私も全くその通りだと思います。
 バブル崩壊による長期の不景気で,企業にも可哀想な面があるのはわかっています。しかし,不景気とは無関係に地道な人材育成は必要なのです。最近、多くの超有名企業が業績不振に陥ったり,仕事で偽装したり不正を働いたというニュースを数多く耳にします。これらは,人材育成を怠ったツケが廻ってきているのでないかと思えてならないのです。また,人材育成の欠如は,技術の継承にも重大な影響を及ぼしています。今ならまだ間に合います。時間はかかりますが,地道な人材育成を大切にしましょう。(み)