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見えないと始まらない。見ようとしないと始まらない。
[ガリレオ・ガリレイ]

地球を調べる方法

写真 物理探査について詳しく知っている人はどれ位いるでしょうか。おそらく,今これを読んでいる大部分の人にとっては初めて聞く言葉かもしれません。探査と聞いて,ダウジングを思い浮かべる人もいるでしょう。しかし,ダウジングは今のところ科学的な根拠や原理が未解明な方法なのでここでは扱いません。物理探査学は,英語ではexploration geopysicsと言い,直訳すると地球物理探査学となります。また,物理探査学は地球物理学の応用分野なので応用地球物理学(applied geophysics)とも呼ばれます。名前からもわかるように,物理探査学は物理学的な手法を用いた探査に関する学問です。なお,学問の名称は物理探査学ですが,その中で使われる各種の物理探査法は,英語でgeophysical explorationと言います。物理学的な手法で地球を調べる方法は,物理探査だけではありません。比較のために,まずは物理探査以外の方法について見ていきましょう。


リモートセンシング

写真 地球表層での電磁波の反射応答を,人工衛星や飛行機から観測するリモートセンシング(remote sensing)は,物理学的に地球を調べる方法の一つです。我々の目も電磁波(可視光)を感じる電磁波センサですが,その周波数帯域は非常に狭く,その範囲を超える電磁波,例えば赤外線や紫外線などは感じる(見る)ことができません。リモートセンシングでは目の代わりとなる電磁波センサを使って,人工衛星などから可視光や赤外光などを広域に観測します。リモートセンシングの人工衛星には様々なセンサが搭載されています。例えば陸域観測衛星のALOS(だいち)は,レーダなどを搭載していて陸の詳細な地形などを調べることができます。その他にも,天気予報のための気象衛星,電波の中継を行う通信衛星,カーナビなどにも使われているGPS衛星,詳細は公表されていませんが偵察衛星(通称スパイ衛星)などがあります。


ソナー

写真 ソナー(SONAR: SOund Navigation And Ranging)は,水中を伝播する音波を用いて,水上船舶や潜水艦,水中や海底の物体を捜索,探知,測距する装置のことです。日本語では超音波探信儀とも呼ばれています。ソナーは水中測的のための音波発信装置と聴音装置を組み合わせたもので,振動子や検知器を中心とした探知システム全体を指します。通常は超音波を使い,超音波を発射して物体からの反射による往復時間から距離や方位を探知しますが,反射ではなく水中の物体が発する音を探知・測定するタイプもあります。 ソナーには,自ら音波を発するモードや自らは音波を発せずに聴音するだけのモードを組み合わせた複雑で大規模な軍用の水中測的装置から,レジャー用を含む簡易な魚群探知機まで,多様なソナーが存在します。また,ソナーは水深を測るためにも使用され,船の航行速度を測るドップラー・ソナーなどもあります。


物理検層

写真 物理検層(well logging)は単に検層とも呼ばれ,掘削された坑井により交差した地層の物理的特性,坑井あるいはケーシングの幾何学的特性(孔径,方位・傾斜等),油層の流れの挙動等を深度毎に測定する坑内の検査技術です。 測定結果は細長い紙に深度に対して記録され,これがログ(Log)と呼ばれます。検層記録を取ることをLoggingと言い,ワイヤーラインによる検層をワイヤーライン・ログ(Wireline Log/Logging)と呼び,泥水を通して地層の情報を得ることを泥水検層(Mud Logging)と呼びます。ワイヤーラインによる検層に対し,LWDやMWDでは測定機器が掘削アセンブリーに装備されており掘進しながら測定を実施します。また,検層は坑井が裸孔かケーシング坑井によって,裸坑検層(Open-hole logging)と管内検層(ケーシング坑井検層:Cased-hole logging)に分けられます。一般的に地球物理及び物理的測定手法を使用しているので,物理検層(Geophysical Log/Logging)とも呼ばれます。


物理探査の分類

写真 物理探査は他の地球科学的探査と異なり,遠く離れた地点での物性値を間接的に測定する必要があるため,遠隔点に作用する力を利用する必要があります。その一つは,時間と共に振動現象が空間的に移動する波動を利用した方法です。この方法には,弾性体を伝わる波(弾性波)を用いた弾性波探査と,地中を伝わる電磁波を利用した地中レーダ探査があります。弾性波探査では人工の地震波を利用し,地中レーダ探査ではアンテナから放射される電磁波が使われます。両者で使われる波の速度は大きく異なりますが,両者ともに波の伝播時間を計測することで,対象物の位置や深度を推定できます。弾性探査の中でも反射法は,石油探査などに利用される物理探査の王道とも言える探査法で,世界で物理探査に投下される資本の95%以上がこの反射法に費やされていると言われています。もう一つのカテゴリーは,距離に応じて減少する遠隔力を利用する方法です。このグループには,重力探査磁気探査電気探査電磁探査があります。重力やクーロン力は逆二乗則と呼ばれる法則に従って,距離の二乗に反比例してその力が弱まります。よって対象となる地下構造が深部にある場合は,測定される信号がかなり小さくなります。その他にもウランなどの放射線源からの放射線強度を測定する放射能探査や,地下の温度を温度計によって測定する地温探査があります。これらの方法は,直接的な測定の側面があるので,地化学探査に分類される場合もあります。